| ケルマディクの万神殿前広場は、参拝客目当ての商店が並んでいる。かなり広い広場だから、買い物客が足を休める宿屋や飲食店もある。大きなパラソルを開いて、その下にテーブルと椅子を置き、飲食を楽しむ店もある。ケルマディクの治安がいいからできる商売だ。 そのパラソルの下で一見して冒険者と解る男女三人がテーブルを囲んでいた。四人掛けの丸テーブルに席は四つ。一つは空席だが一杯の葡萄酒だけが置かれていた。他の三人の前には素朴だが量の多い料理が並んでいる。 三人の男女は神妙に手を組み、黙祷を捧げているようである。不意に、左目に眼帯をつけた赤毛の娘が、少し芝居がかって祈りの言葉を捧げた。 「哀れあの世へ旅立った我らが仲間、カレン・ドゥルスの魂に祈りを捧げ、彼女の平安を祈ります。私たちは貴女のおかげで生き延び、こうして今日の糧を得る事ができました。その事に感謝しつつ、この祈りと食事を貴方に捧げます。善き神々・・・に祈ったら貴女は困惑すると思うし、ここにいるチビ僧侶は貴女に祈りを捧げるのがイヤだと抜かしやがるので、代表して私、イリネア・ルティスが祈ります。 安らかな眠りあれ。 では、いただきます!」 |